機能水比較
生活用、工業用それぞれでASEANの水事情を見てきたが、機能水について触れておきたい。
水という分野において、ASEANではまだまだ機能水の認知度は低いが、以下のような水が様々な形で利用されている。
(図1)機能水比較表(*機能比較のため一部溶剤も含む)
*1: 飲んでも大丈夫かどうか?
*2: 肌に触れても大丈夫かどうか?
*3: そのまま排水しても大丈夫か?
*4: 有機物に接触すると効果を失う。
*5: 飲用としては勧められていないが、飲んでも害はほとんどない。
*6: 漂白作用があり
*7: 希釈して排水が必要
*8: 洗い流せば除菌はできるが、殺菌はできない
*9: 水にぬれた場所では除菌効果がない
*11: 厳密には機能水の分類ではなく溶剤
*2: 肌に触れても大丈夫かどうか?
*3: そのまま排水しても大丈夫か?
*4: 有機物に接触すると効果を失う。
*5: 飲用としては勧められていないが、飲んでも害はほとんどない。
*6: 漂白作用があり
*7: 希釈して排水が必要
*8: 洗い流せば除菌はできるが、殺菌はできない
*9: 水にぬれた場所では除菌効果がない
*11: 厳密には機能水の分類ではなく溶剤
機能水の詳細は一般財団法人機能水研究振興財団のWEBサイト等で分かりやすくまとめられているのでそちらを参照いただきたいが、ざっくり説明すると以下のようになる。
酸性電解水(次亜塩素酸水) pH6.5以下
細菌、ウィルスに殺菌活性を示す。
殺菌因子は電解によって生じる次亜塩素酸(HClO)。
食品添加物に指定されており、皮膚粘膜に対するダメージがほとんどない。
手洗いなど直接肌についても問題なし。
強酸性電解水(強酸性次亜塩素酸水) pH2.2〜2.7
医療用具認可(手指洗浄消毒、内視鏡洗浄消毒等)。
食品添加物に指定されている。
抗菌・抗ウイルス活性を示す。
殺菌因は次亜塩素酸(HClO)が行う。(約90%含まれる)
次亜塩素酸は有機物と容易に反応するので、有機物が多いと強酸性電解水の殺菌力は著しく低下する。
そのため、油脂やタンパク質を除去効果が高い強アルカリ性電解水で殺菌対象を洗浄してから強酸性電解水で処理する方法が有効とされている。
弱酸性電解水(弱酸性次亜塩素酸水) pH2.7〜5
強酸性電解水と同様の抗菌・抗ウイルス活性と安全性が確認されており、食品添加物にも指定されているが、医療用具等の認可は無し。
微酸性電解水(微酸性次亜塩素酸水)pH5〜6.6
強酸性電解水と同様の抗菌・抗ウイルス活性と安全性が確認されているが、食品添加物や、医療用具等の認可は無し。飲用目的では使わないが飲むことも可能。
中性電解水pH6.5〜7.5
殺菌力を示し、除菌水として衛生管理に使えるが、食品添加物などの認可はない。
次亜塩素酸ナトリウム(次亜ソー) pH9〜11
上水道やプールの殺菌に使用されている。
異臭があり、液体の塩素系漂白剤や、殺菌剤(洗濯用、キッチン用、ほ乳ビンの殺菌用など)などに使用されており、製品によっては少量の界面活性剤(中性洗剤の主成分)やアルカリ剤などが加えられている。
水溶液はアルカリ性であるが強い酸化力を持つため、金属に使用すると錆が発生しやすい。
家庭用製品に『混ぜるな危険』の注意書きにもあるように、漂白剤や殺菌剤といった次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、塩酸などの強酸性物質(トイレ用洗剤など)と混合すると、黄緑色の有毒な塩素ガスが発生する。
*分類としては機能水ではなく溶剤。
アルカリイオン水(飲用弱アルカリ性水素水) pH9〜10
飲用適の水を電気分解することにより陰極から生成される弱アルカリ性の飲用電解水の通称。
アルカリイオン整水器は「医療用物質生成器」として認定されている。
飲用して慢性下痢、消化不良、胃腸内異常発酵、制酸、胃酸過多に有効。料理などにも利用できる。
強アルカリ性電解水 pH10.5〜11.5
油脂の乳化やタンパク質等の有機物汚れに対する洗浄力が強い。
酸性電解水処理では殺菌しにくい結核菌などを、強アルカリ性電解水で前処理すると酸性電解水で容易に殺菌しやすくなる等の効果もある。
そのまま清掃にも活用できる。
スーパーアルカリイオン水pH 12.5以上
強アルカリ電解水よりもさらに強いアルカリ性であり、洗浄、除菌、消臭、防錆性がある。
比較表を見ると分かりやすいが、他の機能水と比較した際、洗浄、除菌、消臭、防錆、安全性とほぼすべての項目の機能を有しており、オールマイティーな水。
ただし、金属等を洗浄する場合は、ものによっては変色するものもあるので利用する際に注意が必要。
オゾン水
酸化活性が強く、広範な微生物殺菌、脱臭、脱色などの性能。
溶存濃度は30分で半減するので、製造後速やかに使用することが重要。
注目され始めている機能水
ちょうど、日本では今回のコロナ騒ぎで、次亜塩素酸水が殺菌・ウィルス不活化に有効だとか、アルカリイオン水は洗浄力が高いため予防に繋がる等、テレビやWEB等のメディアでいろいろと取り上げられている。
実際、ノロウィルスの不活化やサルモネラ菌の除菌等では一定の効果を発揮しておりデータが公開されいてる。
ASEANでは除菌となるとほとんどがアルコールだが、このタイミングで上記のような機能水を除菌に活用する方法も注目され始めており、その中でも特に今後幅広く利用されそうなのが、pHが12.5以上の強アルカリ性で、高い洗浄性や除菌力実現しながら、人体にほぼ影響がない安全性を実現しているスーパーアルカリイオン水(以下、SAIW)だ。
一般の消費者向けには洗浄や除菌用途に使われていることが多いが、このような機能水は工業用用途でも多く使われている。
SAIWは洗浄力が強いため、日本では部品の加工や洗浄工程で使われる化学薬品の代わりに活用されたり、設備保全のために使われる防錆剤や藻の発生を防ぐ薬品の代わりに利用されている。
しかも、基本が水であるため、化学薬品を処理するよりも手間とコストを抑えることができたり、何より人体への影響が少ないため工場で働くスタッフにも優しい。
水 (その2)工業用水でも記載したが、ASEAN各国の製造業では、現在多くの工場では排水や廃溶剤処理に非常に苦労しており、化学薬品や溶剤をそもそも使わなくてもよい方法を検討する上での一つのツールになりうる可能性を秘めていると感じている。
[関連記事]
水 (その1) ASEANの上下水道整備状況
https://ecms.co.th/cms/article-41/
水 (その2)工業用水
https://ecms.co.th/cms/article-43/
https://ecms.co.th/cms/article-41/
水 (その2)工業用水
https://ecms.co.th/cms/article-43/