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水資源 その1 (ASEANの上下水道整備状況)

上下水道の整備状況

世界で水道水が飲める国は以外と少ない。
国道交通省の資料によると、一部エリアであっても水道水が飲める国は以下16ヵ国となっている。
アイスランド、フィンランド、スゥエーデン、ドイツ、オーストリア、アイルランド、スロベニア、クロアチア、アラブ首長国連邦、南アフリカ、モザンビーク、ソレト、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、日本。
米疾病予防管理センターによると、水道水が飲める国はもう少し拡大されて以下のような国でも水道水が飲めると発表されている。(上記に記載した以外で飲料可能とされている国)
韓国、シンガポール、イスラエル、アメリカ、グリーンランド、ノルウェー、デンマーク、スイス、スペイン、ポルトガル、イタリア、イギリス、フランス、ポーランド、チェコ、スロベニア、ギリシャ、ベルギー、オランダ等。
残念ながら、ASEANで名前が出てくるのはシンガポールのみ。
では、飲めるのかどうか以前に、水道が整備されているかどうかを見ると以下のようになる。
上下水道普及率-ecms
Source: Global Water Intelligence, Global Water Market 2011、環境省資料、水道技術研究センター
先進国・中進国といわれる、シンガポール、マレーシア、タイに関しては全国の上水道普及率が80%以上となっている一方で、それ以外の国に関しては50%以下だ。
フィリピン、インドネシア等は特に島が多いため、離島まで含めて上水道を整備するのには非常にコストがかかると想定される。
ラオス、ベトナム、カンボジア、ミャンマーについては、経済発展が都市部を中心としており、田舎のエリアまで含めて広がるのにはまだ時間がかかりそうだ。
それでも、上水道は経済成長とともに優先的に整備され普及率が上がっていく傾向があるが、問題が大きいのは下水道。
特に、タイ、インドネシア、フィリピン等は、上水道の整備に比べて、下水道の整備が非常に遅れている。
ASEANエリアに住んでいたり旅行された方はよく分かると思うが、どの都市に行っても都市の中を流れている川が汚い。
しかしながら水は循環している。
特に河川や地下水の水質が悪くなればなるほど、上水を作るための手間や費用膨らんでくるため、遠回りではあるが長期的には水インフラに必要な費用がますます膨らんでくる。

無収水率

もう一つのデータを見てみよう。
無収水率-ecms
Source: 水道技術研究センター2014-2017の各都市のデータ
日本であまり聞きなれない言葉だが、無収水率(配水管からの漏水や盗水により料金徴収ができない水)であり、シンガポールとプノンペンを除いて、どの国も軒並みおおよそ30%以上と比率が高い。
理由はいろいろで、水道メーターが未設置・壊れていたり、漏水をメンテナンスできていなかったり、違法接続による盗水等によりユーザーにチャージできていない。
ちなみにタイのバンコクと周辺2県の首都圏に水を供給しているのは、首都水道公社(MWA)だが、210万戸、840万人に給水を行っており、2015年の給水による売上高は168億THB(約588億円)で、利益69億THB(約242億円)となっている。
もし無収水となっている30%をチャージできたとすると約72億THB(約252億円)となるので、年間利益と同等位の追加収入が得られるポテンシャルがあるわけだ。
近年ではセンサー等を活用しながら漏水しているポイントを絞り込んで効率的にメンテナンスしたり、ビックデータで利用者の傾向を見ながら、料金をきちんと支払っていないようなイレギュラーなユーザーをピンポイントで特定してチェック行く等、技術を活用してより効率的に無収水率を低くしていくアプローチが取れるのではないか。

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